大判例

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札幌地方裁判所 昭和43年(ワ)1265号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕前記認定の事実によれば、原告らは、訴外庄司に対し本件各土地の権利証、白紙委任状、印鑑証明書および住民票を任意交付することにより、訴外庄司らに右各書類を所持させたところ、被告らは、訴外庄司らが右各書類を所持していたことから、訴外庄司らを原告らの代理人として本件各土地の売却をする権限があると信じたのであつて(なお、そう信ずるにつき過失があつたことを認むべき証拠はない。)、これを原告らの方から見れば、被告らに対し、右各書類の所持者たる訴外庄司らに本件各土地の売却につき代理権を与えた旨を表示したものと言うことができる。したがつて、原告らは、民法一〇九条により、訴外庄司らが被告らとの間になした本件各土地の売買につき売主としての責任を負わねばならず、結局、被告小川は第一土地の、被告鈴木は第二土地の各所有権を取得したものと言わざるを得ない。

二、次に、原告らが抹消を求めている本件各登記の効力につき考える。

前記認定事実によれば、右登記が原告らの意思に基づかない登記申請によりなされたものであることは明らかであり、登記申請には、表見代理に関する民法の規定の適用がないと解されるから、右登記に瑕疵があると言わざるを得ない。しかしながら、登記義務者の意思に基づかずに登記申請がなされた場合でも、その登記申請により登記がなされ、その登記の記載が実体的権利変動に符合していて、登記義務者において登記申請を拒みみ得る特段の事情があるとは認められず、登記権利者において登記申請を適法であると信じ、そう信ずるにつき正当の事由があるときは、登記義務者は、瑕疵ある登記申請によりなされた登記の無効を主張し得ないものと解するのが相当である。しかるところ、前記のとおり、第一土地につき原告鈴木から被告小川へ、第二土地につき原告民から被告鈴木へそれぞれ実体上所有権が移転しているのであつて、しかも、前記認定事実によれば、原告において右所有権移転の登記申請を拒みうる特段の事情があるとは認められず(他に右事情を認むべき証拠はない。)、被告らにおいて訴外庄司から交付を受けた各書類による登記申請を適法であると信じ、また、そう信ずるにつき正当の事由があつたと言うべきである(原告らの意思に基づき作成された各書類によつてなされた登記申請を適法であると信ずることは、特段の事情のない限り、正当の事由があると言うべきである。)から、原告らは実体的権利変動に符合する本件各登記の無効を主張し得ないと言わざるを得ない。(鈴木康之)

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